跡地
引っ越したよーーーーん
ここはそのうち消えるオリキャラ落書き置き場
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No.6
#俺ヒロ
性行為匂わせ、キス等があるやや恥ずかしき文章
2023年の2月、文章書くのにハマってたんだな…
幸せは、あなたのかたちをしてるから
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ひまりが泊まりに来る日は、ひまりを先に風呂に入れて、交代で俺が入る。一緒に風呂に入るのは、恥ずかしいから、たまに。普段は風呂なんてシャワーだけで済ませて、一瞬で終わるけれど。リビングからドライヤーの音が聞こえなくなるまで、ゆっくり湯船に浸かる。
一度、俺がひまりの髪の毛を乾かしたことがあったけど、なんか、仕上がり? そういうのが……いつもとちがくて。ひまりは少しも気にしてなかったってか、髪の毛を触られて気持ち良さそうにしてたけど(……多分な?)、なんか、俺はやらないほうがいいのかもな……って思って、それからやってない。
「おかえり~」
スウェットに着替えて、リビングに戻ると、すっかり髪の毛なんかツヤツヤでサラサラになったひまりが、スマホを片手に、床にぺたんと座ってテレビを観ていた。いや、スマホのほうがメインだろうから、観ていたというより、流していたというほうが正しいか。俺が「ケツ痛くなるだろ」と椅子に座るように促すと、ひまりは立ち上がって、俺の腕を引っ張る。そのまま、「どーぞー」と、逆に俺が座らされてしまった。
「力つーよ。なんだよ。」
「ドライヤーするの。」
「あー、お願いします。」
「はーい!」
俺が1回きりにしたあとから、「じゃあうちがやる!」と、ひまりが俺の髪の毛を乾かすようになった。小さい手て頭をまさぐられる感覚はいつまでたっても慣れないが、気持ちいい。ついウトウトと舟を漕いでしまったらしく、耳元で「礼央くん」とささやかれたのも束の間、そのまま耳をはむ、と唇で噛まれてハッと姿勢を正した。
「ッ、お前さぁ……!」
「えへへ、ごめんごめん。聞こえないかなあと思いましてー。」
「……。」
俺たちは、高2の終わりころに付き合いだして、もう1年とちょっとが経過している。大学は別々だけど、同じまちに出てきて、お互い一人暮らし。お互いの地下鉄の最寄り駅に行くには、乗り換えが必要。そもそも地下鉄なんてものはなくて、家が近所で、通う学校が同じだったあの頃とは、物理的な距離が大きく開いた。
けれど、新しい生活と、地元の何十倍も栄えているこのまちは、俺たちに色々な刺激を与えてくれて、絆……ていうのか、なんつーか。仲の良さ、そういうのは、毎日積み重なっている。と、思う。学業や慣れないバイトの合間を縫って、泊まりに行ったり来たりしている。大体、週に1回。それに加えて別の日にデートをする週ももちろんある。
引っ越したばかりの頃は、全然会う暇が無かった……こともなく、逆に、新生活で、あれがいる、これがいる……どこで買う? どうしよう? っていう悩みが共有できて、解決するために一緒にまちの中心地へ出たりしていたから、会わない週っていうのは、今のところ、珍しい。
高校のころと比べて幾分も軽くなった俺の髪が乾くのはあっという間で、ひまりはドライヤーを片付けながら、ぽつりと呟いた。
「ねえ、ごめんね」
「ん、何が」
「はむはむって、したこと……。」
「怒ってねえよ、全然。ほら。」
両手を広げると、膝の上に向かい合わせになるように跨ってくる。俺が抱きしめる前に、ひまりから抱き着いてきたから、返すように、ぎゅう、と抱きしめる。髪の毛をゆっくりと撫でながら、耳に唇を近づける。「仕返し。」と囁くと、背中に回された腕に、より力が入るのを感じた。赤くなったひまりの小さい耳たぶに、触れるだけみたいなキスをする。首元に顔を埋めると、「ふふっ」と笑い声が聞こえて、頭を犬を撫でるみたいにされた。
「髪の毛、伸びてきたね。」
「ん……、そろそろ切るかな……。」
「高校生のときみたいに、伸ばさないの?」
「アレは、伸ばしてたワケじゃねえ……、だらしなかった、だけ……。」
「うちは好きだったけどなあ。」
「ふぅん……、俺もお前の……、あれ……、ツインテールみたいな……おさげ? ……好き、だったけど……今の……下ろしてるのも好き……。」
「ねえー、ずる! うちだって今の礼央くんも好きだよ。てゆうか眠い?」
「ねむ……くないッ……!」
「わっ!」
頭を撫でられるとやっぱり眠くなる。今もまた寝そうになったが、無理やり意識を引き戻し、ひまりを抱えて立ち上がった。
「歯は磨いた……な。」
「うんっ……。」
俺はひまりを抱えたまま、リビングの電気を消す。開けっ放しの襖の奥にある、寝室へ。二階だから、カーテンを開けて寝ている。朝は陽の光が、夜は微かに街灯と、月の光が入ってくる。
ひまりが風呂に入っている間、自分の布団と来客用の布団をピッタリとくっつけて、デカい敷布団みたいにしておくのが癖になっている。最初は俺のだけ敷けばいいかなって思ってたけど、起きた時にどっちかが床の上で寝てるので、一応その対策として。
来客用の布団にひまりを降ろすと、すぐに俺の布団にころころと転がるのが、暗くてもわかった。かわいい。俺も一緒に自分の布団に入ると、ひまりが「へへへ~」と笑いながら抱き着いてくる。堪らなくなって、抱きしめて、小さな唇に、チュッと軽いキスをした。
「……」
「もっとしてって顔?」
「暗いから見えないもん。」
「見えますよ。見えてんだろ? つーかそれ、認めてんじゃん。」
「……じゃあ礼央くんは、もっとチューするぞって顔、してる。」
「やっぱ見えてねーのかな。……いや、でもまあ、正解……んっ」
大学生になって、初めて俺の家に泊まりに来た時に、初めてそういうことをした。キスは高校生の時から何度かしていたけれど、それ以上のことは、する場所も、余裕もなく。初めての夜は、緊張して、恥ずかしくて、興奮して、色々な感情がまぜこぜのメチャクチャになって。今日はここまでにしようって言っても、やめないでって言われて。やっとひとつになったとき。きっと辛さで、目尻に涙を浮かべたひまりが、「うれしい」って言ってくれたから、俺は、たぶん初めて、ひまりの前で、泣いてしまった。そんなダサい俺を、ひまりは、「大丈夫? 辛い?」って、心配してきて。お前のほうだろ、それは。挿れながら泣いてる俺、ヤバイだろ。いろいろ恥ずかしくて申し訳なくて死にたくなったけど、それ以上に、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ……って気持ちが、溢れて止まらなくなった。
そんな記憶もまだまだ新しい。わからないことがいっぱいある。それでも、触れるようなキスから、啄むように変わって、噛みついて、深く、深くなっていく。ああ、好きだって、思いながら。
「……んぅ……ん~……んふふふっ」
「ンッ……、は……、なに……くすぐったい?」
「んん、ちがう、ごめんごめん、ふふ」
ころころと、楽しそうに笑って、俺を愛おしそうに見つめてくれるひまりが、可愛いくて、でも、なんだよって気持ちがあって、ちいさい鼻の先を指先でつつく。
「ナンデスカ。」
「笑わない?」
「はぁ? お前が先に笑ったんだろ。笑ってやるよ。」
「え! よくかんがえたら、礼央くんが笑うなら、そのほうがよくなってきた。」
「なんなんだよ……俺の表情筋の、信頼度低いな……。」
「だってさーぁ。じゃあ笑ってね? ……あのね、幸せだなって思ったら、なんか、うれしくて、笑っちゃっただけだよ。」
「……そーかよ」
そんなことを言われて、どうしていいか、わからなくて。どうしてこんなに、眩しいんだろう。ひまりの両頬を片手で掴んで、ひよこのくちばしみたいにしてやった。
「うー! なんかおこってう?」
「怒ってない。」
「じゃー、照れてぅ。」
「あーもう、ぴーちくぱーちく。」
手を離して、もう一度、人差し指で鼻先をつんつんとつつく。俺はなんか、こうやってひまりの鼻を触るのが好きだ。そして、ひまりの形を確かめるように、頬を両手で包んで、親指で優しく撫でると、ふふ、と笑った。そしてひまりも、俺と同じように、俺の頬を小さな手で包んでくれる。
「ねー教えて、見えない。暗いからね?」
「じゃあ電気つけるか。そしたらよく見える。」
「……」
「そんでそのままする。お前の顔も、体も、全部見る。」
「やぁだー!」
「ははっ……、俺もそれは恥ずかしい。」
「あ、笑ったなっ?」
「見えた?」
「見えた。かわいい礼央くんの顔。」
「かわいいって……」
「ね。男子に可愛いって思うのって不思議だよね。礼央くんにしか思わないよ?」
「ああ、そうかいそうかい。」
「なにさ!」
「……照れてる。」
「んー? ふっふっふ。」
俺の彼女が、満足げに、いたずらっぽく笑っている。さっきまで、エロいキスをしてたのに、ムードなんてどこかにいってしまって。それはそれで、心地良い。いま、ひまりとこうやって、くっついて、好きだって気持ちが伝わってくるのが、本当に本当に幸せだから。そして、俺も、伝えたい。
「あぁ、もう。クソッ……。かわいい。マジで大好き………。」
ひまりの体を引き寄せて、ぎゅっと抱きしめる。頭をゆっくり撫でながら、サラサラの髪の毛に軽くキスをする。おでこ、こめかみ、まぶた、頬、鼻、触れるだけのキスを繰り返す。ふと、唇にキスをしようとひまりの顔を見る。
「……やらしー顔。」
「……礼央くんも。」
「それはそうかも、な……。」
前言撤回。ムードなんてものは、あっさりとなくなれば、あっさりと戻ってきたりする。だから今日も、大好きなひまりにたくさん触れて、愛や幸せを確かめあって、夜がふけていくことになる。
了
2023-2-21
畳む
文章
2023/12/14(Thu) 20:51
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幸せは、あなたのかたちをしてるから
ひまりが泊まりに来る日は、ひまりを先に風呂に入れて、交代で俺が入る。一緒に風呂に入るのは、恥ずかしいから、たまに。普段は風呂なんてシャワーだけで済ませて、一瞬で終わるけれど。リビングからドライヤーの音が聞こえなくなるまで、ゆっくり湯船に浸かる。
一度、俺がひまりの髪の毛を乾かしたことがあったけど、なんか、仕上がり? そういうのが……いつもとちがくて。ひまりは少しも気にしてなかったってか、髪の毛を触られて気持ち良さそうにしてたけど(……多分な?)、なんか、俺はやらないほうがいいのかもな……って思って、それからやってない。
「おかえり~」
スウェットに着替えて、リビングに戻ると、すっかり髪の毛なんかツヤツヤでサラサラになったひまりが、スマホを片手に、床にぺたんと座ってテレビを観ていた。いや、スマホのほうがメインだろうから、観ていたというより、流していたというほうが正しいか。俺が「ケツ痛くなるだろ」と椅子に座るように促すと、ひまりは立ち上がって、俺の腕を引っ張る。そのまま、「どーぞー」と、逆に俺が座らされてしまった。
「力つーよ。なんだよ。」
「ドライヤーするの。」
「あー、お願いします。」
「はーい!」
俺が1回きりにしたあとから、「じゃあうちがやる!」と、ひまりが俺の髪の毛を乾かすようになった。小さい手て頭をまさぐられる感覚はいつまでたっても慣れないが、気持ちいい。ついウトウトと舟を漕いでしまったらしく、耳元で「礼央くん」とささやかれたのも束の間、そのまま耳をはむ、と唇で噛まれてハッと姿勢を正した。
「ッ、お前さぁ……!」
「えへへ、ごめんごめん。聞こえないかなあと思いましてー。」
「……。」
俺たちは、高2の終わりころに付き合いだして、もう1年とちょっとが経過している。大学は別々だけど、同じまちに出てきて、お互い一人暮らし。お互いの地下鉄の最寄り駅に行くには、乗り換えが必要。そもそも地下鉄なんてものはなくて、家が近所で、通う学校が同じだったあの頃とは、物理的な距離が大きく開いた。
けれど、新しい生活と、地元の何十倍も栄えているこのまちは、俺たちに色々な刺激を与えてくれて、絆……ていうのか、なんつーか。仲の良さ、そういうのは、毎日積み重なっている。と、思う。学業や慣れないバイトの合間を縫って、泊まりに行ったり来たりしている。大体、週に1回。それに加えて別の日にデートをする週ももちろんある。
引っ越したばかりの頃は、全然会う暇が無かった……こともなく、逆に、新生活で、あれがいる、これがいる……どこで買う? どうしよう? っていう悩みが共有できて、解決するために一緒にまちの中心地へ出たりしていたから、会わない週っていうのは、今のところ、珍しい。
高校のころと比べて幾分も軽くなった俺の髪が乾くのはあっという間で、ひまりはドライヤーを片付けながら、ぽつりと呟いた。
「ねえ、ごめんね」
「ん、何が」
「はむはむって、したこと……。」
「怒ってねえよ、全然。ほら。」
両手を広げると、膝の上に向かい合わせになるように跨ってくる。俺が抱きしめる前に、ひまりから抱き着いてきたから、返すように、ぎゅう、と抱きしめる。髪の毛をゆっくりと撫でながら、耳に唇を近づける。「仕返し。」と囁くと、背中に回された腕に、より力が入るのを感じた。赤くなったひまりの小さい耳たぶに、触れるだけみたいなキスをする。首元に顔を埋めると、「ふふっ」と笑い声が聞こえて、頭を犬を撫でるみたいにされた。
「髪の毛、伸びてきたね。」
「ん……、そろそろ切るかな……。」
「高校生のときみたいに、伸ばさないの?」
「アレは、伸ばしてたワケじゃねえ……、だらしなかった、だけ……。」
「うちは好きだったけどなあ。」
「ふぅん……、俺もお前の……、あれ……、ツインテールみたいな……おさげ? ……好き、だったけど……今の……下ろしてるのも好き……。」
「ねえー、ずる! うちだって今の礼央くんも好きだよ。てゆうか眠い?」
「ねむ……くないッ……!」
「わっ!」
頭を撫でられるとやっぱり眠くなる。今もまた寝そうになったが、無理やり意識を引き戻し、ひまりを抱えて立ち上がった。
「歯は磨いた……な。」
「うんっ……。」
俺はひまりを抱えたまま、リビングの電気を消す。開けっ放しの襖の奥にある、寝室へ。二階だから、カーテンを開けて寝ている。朝は陽の光が、夜は微かに街灯と、月の光が入ってくる。
ひまりが風呂に入っている間、自分の布団と来客用の布団をピッタリとくっつけて、デカい敷布団みたいにしておくのが癖になっている。最初は俺のだけ敷けばいいかなって思ってたけど、起きた時にどっちかが床の上で寝てるので、一応その対策として。
来客用の布団にひまりを降ろすと、すぐに俺の布団にころころと転がるのが、暗くてもわかった。かわいい。俺も一緒に自分の布団に入ると、ひまりが「へへへ~」と笑いながら抱き着いてくる。堪らなくなって、抱きしめて、小さな唇に、チュッと軽いキスをした。
「……」
「もっとしてって顔?」
「暗いから見えないもん。」
「見えますよ。見えてんだろ? つーかそれ、認めてんじゃん。」
「……じゃあ礼央くんは、もっとチューするぞって顔、してる。」
「やっぱ見えてねーのかな。……いや、でもまあ、正解……んっ」
大学生になって、初めて俺の家に泊まりに来た時に、初めてそういうことをした。キスは高校生の時から何度かしていたけれど、それ以上のことは、する場所も、余裕もなく。初めての夜は、緊張して、恥ずかしくて、興奮して、色々な感情がまぜこぜのメチャクチャになって。今日はここまでにしようって言っても、やめないでって言われて。やっとひとつになったとき。きっと辛さで、目尻に涙を浮かべたひまりが、「うれしい」って言ってくれたから、俺は、たぶん初めて、ひまりの前で、泣いてしまった。そんなダサい俺を、ひまりは、「大丈夫? 辛い?」って、心配してきて。お前のほうだろ、それは。挿れながら泣いてる俺、ヤバイだろ。いろいろ恥ずかしくて申し訳なくて死にたくなったけど、それ以上に、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、好きだ……って気持ちが、溢れて止まらなくなった。
そんな記憶もまだまだ新しい。わからないことがいっぱいある。それでも、触れるようなキスから、啄むように変わって、噛みついて、深く、深くなっていく。ああ、好きだって、思いながら。
「……んぅ……ん~……んふふふっ」
「ンッ……、は……、なに……くすぐったい?」
「んん、ちがう、ごめんごめん、ふふ」
ころころと、楽しそうに笑って、俺を愛おしそうに見つめてくれるひまりが、可愛いくて、でも、なんだよって気持ちがあって、ちいさい鼻の先を指先でつつく。
「ナンデスカ。」
「笑わない?」
「はぁ? お前が先に笑ったんだろ。笑ってやるよ。」
「え! よくかんがえたら、礼央くんが笑うなら、そのほうがよくなってきた。」
「なんなんだよ……俺の表情筋の、信頼度低いな……。」
「だってさーぁ。じゃあ笑ってね? ……あのね、幸せだなって思ったら、なんか、うれしくて、笑っちゃっただけだよ。」
「……そーかよ」
そんなことを言われて、どうしていいか、わからなくて。どうしてこんなに、眩しいんだろう。ひまりの両頬を片手で掴んで、ひよこのくちばしみたいにしてやった。
「うー! なんかおこってう?」
「怒ってない。」
「じゃー、照れてぅ。」
「あーもう、ぴーちくぱーちく。」
手を離して、もう一度、人差し指で鼻先をつんつんとつつく。俺はなんか、こうやってひまりの鼻を触るのが好きだ。そして、ひまりの形を確かめるように、頬を両手で包んで、親指で優しく撫でると、ふふ、と笑った。そしてひまりも、俺と同じように、俺の頬を小さな手で包んでくれる。
「ねー教えて、見えない。暗いからね?」
「じゃあ電気つけるか。そしたらよく見える。」
「……」
「そんでそのままする。お前の顔も、体も、全部見る。」
「やぁだー!」
「ははっ……、俺もそれは恥ずかしい。」
「あ、笑ったなっ?」
「見えた?」
「見えた。かわいい礼央くんの顔。」
「かわいいって……」
「ね。男子に可愛いって思うのって不思議だよね。礼央くんにしか思わないよ?」
「ああ、そうかいそうかい。」
「なにさ!」
「……照れてる。」
「んー? ふっふっふ。」
俺の彼女が、満足げに、いたずらっぽく笑っている。さっきまで、エロいキスをしてたのに、ムードなんてどこかにいってしまって。それはそれで、心地良い。いま、ひまりとこうやって、くっついて、好きだって気持ちが伝わってくるのが、本当に本当に幸せだから。そして、俺も、伝えたい。
「あぁ、もう。クソッ……。かわいい。マジで大好き………。」
ひまりの体を引き寄せて、ぎゅっと抱きしめる。頭をゆっくり撫でながら、サラサラの髪の毛に軽くキスをする。おでこ、こめかみ、まぶた、頬、鼻、触れるだけのキスを繰り返す。ふと、唇にキスをしようとひまりの顔を見る。
「……やらしー顔。」
「……礼央くんも。」
「それはそうかも、な……。」
前言撤回。ムードなんてものは、あっさりとなくなれば、あっさりと戻ってきたりする。だから今日も、大好きなひまりにたくさん触れて、愛や幸せを確かめあって、夜がふけていくことになる。
了
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